京都外国語大学・京都外国語短期大学

通訳の魅力は、
「無限の探究」にあり

  • 中国語学科4年次生
  • 神田 雅晴 さん
  • 兵庫県出身
  • 2016.12.20

 

Q.ニックネームを教えてください。

最近、「カンディー」と呼ばれることが多いです。他には「マサ」と呼ばれますね。イギリスにいた時なんですけど、現地の人は「Masaharu(まさはる)」というスペルになじみが無いようで、「どうせ最後もaだろう」と「Masahara(まさはら)」って呼ばれていました…。クラス確認の掲示で「マサハラって誰だ!?」と思っていたら自分だったり(笑)。

Q.なぜ京都外大に進学しようと?

もともと外国語大学への進学を希望していました。高校が全学年合わせて60人ほどだったんですけど、少人数の割に京都外大に進学している人が多く、よくその名前を耳にしていました。ある日ブラジルポルトガル語学科に進学した先輩が来校されて、講演を行いました。その時聞いたポルトガル語がとても流ちょうで。もちろん意味は分からないのですが、「スゲー!!」と思ったんです。その先輩は、京都外大は学生・教員との距離が短く、いろんなことができるチャンスがあるとか、「ブラジル大使館の方に京都案内をした」というような、各国の要人がよく来ると聞いて「そんな大学があるのか!」と思いました。実際にオープンキャンパスに訪れた時、同時通訳の体験ができる教室「同時通訳・遠隔授業対応教室」を見て、「おー、おもしろい学校だな」と。座学だけでなく、実際に語学力を使える機会がこの大学にはあると感じ、京都外大の受験を決めました。

Q.ではなぜブラジルポルトガル語学科ではなく、中国語学科を選びましたか?

「漢字」がすごく好きで、勉強したいと思っていました。「どうやったら、効率よく漢字を知ることができるのかな?」と考えたところ、「中国語を勉強すれば、実際に中国に行って漢字についての本を読んだり仕組みを勉強できる!」と思ったんです。僕は小学4年生の頃から、両親の勧めで単身イギリスで生活していました。のちのち聞いたところによると、僕がイギリス行きを断ったら寺に入れるつもりだったそうです。「イギリスor寺」という選択で(笑)。日本に戻ったのは16歳の時でした。本やインターネットのおかげで、漢字を読むことはできるのですが、作文など漢字を書くことが全くダメで。帰国したときにはとても苦労しました。いまだに、「ち」「さ」・「ツ」「シ」・「ソ」「ン」の違いがわからない時があります(笑)。大学受験に入る1年ほど前に「このままじゃダメだ!」と思い、特に漢字に力を入れて勉強しました。その時、一つひとつの漢字に意味があることを知って、「漢字をもっと勉強したい」と思うようになったんですね。普通だったら日本語学科かもしれませんが、僕の場合は「漢字の源流は中国だから」というシンプルな考え方です(笑)。以前中国にインターンシップに行った際、書店に入ったらフロア中漢字で溢れていました。昔の「書」に関する本や毛筆など漢字に関する本や商品が陳列されているのを見て、心からうれしくて。漢字に関する資料の多さや、その思い入れを感じることができ、「中国語学科に入学してよかった」と思いました。

Q.現在さまざまな活動をされていますが、始めようと思ったきっかけを教えてください。

今、被爆者の人たちの証言をいろいろな言語に翻訳する「被爆者証言の世界化ネットワーク(NET-GTAS)」の学生サポーター会議のメンバーと、「通訳学習者団体circle」という、通訳ボランティアや通訳の勉強会を行う団体の代表を務めています。あとは大学で教わったことを活かして「Public Speaking(聴衆を前に話す技術)」の授業を企画し、学習塾で講師として教壇に立っています。他には通訳・翻訳の専門学校にも通っています。いわゆるダブル・スクールです。

「通訳・翻訳をやってみよう!」と思ったのは高校の時。特にこれといった理由はないのですが、漠然と「通訳やってみたいな」と考えていました。僕は義務教育を受けていないので、イギリスから帰国したとき、その積み重ねの差を如実に感じたんです。「俺、もしかしてまともな人生を歩めないんじゃ…」って不安になりました。そこで自分のこれまでを振り返り「自分でできる、得意なこと」を探ってみたところ、「話すこと」だと気付いたんですね。そこで思いついたのが「落語家」「芸能人」「通訳」の3つでした。現実的に考えて「じゃ、通訳かな」と。そこから外国語大学への進学を希望しました。『モノが無いと仕事ができない』ではなく、『自分の身体と頭だけでできる』何かがしたい。極端な話ですが、通訳だとノート1冊・ペン1本でできますよね。自分の身体だけで最前線に立ち戦える仕事がいいな、と思い通訳を目指しています。僕は「何もできない」というところからスタートしています。

Q.通訳・翻訳の魅力とは?

生涯勉強・研さんできるところです。英検などのテストでは必ず正解がありますが、通訳・翻訳では、「場の雰囲気」「話し手と聞き手との関係性」などによって、その場に適した言葉に訳すので、正直なところ「正解なし」なんです。正解は自分が作っていく。それを探し続けるのが楽しいですね。

基本的には、話していることを伝える仕事なので、話し手の意図を100%くみ取り、それをベストな言葉で訳します。実際に現場に行ってやってみないとわからないんですね。

現在circleでは、アルツハイマー病に関する国際会議開催に向け、海外と日本の会議通訳ボランティアをしています。ある会議で日本語話者の横について約1時間半、英語のウィスパリング(通訳者が聞き手の耳元でささやくように通訳すること)をした時のことです。その人は日本語で要件を話した後、最後に日本語の定型文「よろしくお願いします」と言いました。僕は「え…『よろしくお願いします』って、どう訳せばいいんだろう…!?」と固まってしまったんです。何とか英訳して伝えなければ「最後の言葉、何って言ったの?」と必ず聞かれるので、苦し紛れに「Thank you for your corporation.」と訳し、乗り切りました。時間にすると1~2秒ほどの出来事でした。終了後「直前の会話やこれからの両者の関係を考えたうえで、もっと気の利いた訳があったんじゃないか」と考えました。こういう「せめぎ合い」と「とっさの機転」が必要なところが純粋に楽しいですね。

通訳は頭と足が元気であれば、長くやっていける仕事です。60歳を過ぎても現役の通訳者が多くいらっしゃいます。そんなベテランの人たちが、40年近く通訳者として活躍しても「あれ、これってどう訳するんだろう?」と悩み、探究し続けて行けるのが、魅力ですね。

現在は英語のみの通訳を勉強しています。中国語では観光案内などコミュニティー通訳であればある程度できますが、両方同時に勉強するのはどっちつかずになる可能性もあるので、英語に慣れてきたら、中国語通訳も始めたいと思っています。

Q.これからの目標は?

2020年の東京五輪に通訳者として参加することです。

Q.最後に、好きな言葉を教えてください。

「Less is more.」です。「少ない言葉で、多くを伝える」という意味です。とある授業で先生からパブリック・スピーキングのコツとして教えてもらった言葉で、通訳するうえで気をつけています。(2016年12月20日)

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