京都外国語大学・京都外国語短期大学

個性を表現する
白と黒の芸術

  • 書道家
  • 橋本 阿依 さん
  • 英米語学科 2014年度卒業
  • 2018.03.26

筆と墨で個性を表現

はらう、とめる、はねる。筆を持つと、周りの景色は白と黒に変わって、気がつけば字が半紙の上に浮かんでいるんです。

書道を始めたのは、4歳くらい。物心ついたときには筆を持ち、硯で墨を磨っていました。母の友人に薦められて書道教室に通うようになり、18歳で師範代に昇段。大学在学中に師範となり、現在は企業に勤めながら、大阪の書道教室で子供たちや社会人の方々を対象に指導をしています。

近年の美文字ブームで書道人口はどんどん増加中。お手本の通りのきれいな字も良いですが、書く人の個性が字に現れるのが書道のいいところ。たくさんの人に、書道の楽しみを知ってもらいたいですね。

書道、海を渡る

京都外大への進学を決めたのは、英語を修得して、海外にも活躍の幅を広げたかったから。入学が決まってからは、外国で書く自分の字はどんな色が出るんだろう、海の向こうの人たちは自分の書を見てどんな反応をするんだろう、とウキウキしていました。

学生時代に訪れたカナダでは、バンクーバーにある湖がきれいな広場で書道パフォーマンスを行い、道行く人たちが「何だ?何をやっているんだ?」と足を止めてくれました。中には、作品を売って欲しいと言ってくれる人もいて、自分の書が海外で芸術作品として評価されたことにすごく興奮しました。

他にも、世界で活躍される方々が大学に来られた際に、私の書をプレゼントして喜んでいただけたことや、創立65周年の際に、大学関係者の方から周年ロゴのデザインを任せていただけことなど、色んなところで自分の書を認めていただき、どんどん自信がつきました。

もっと世界中の書と出会いたい

将来的には、留学生や観光客のための書道教室を持ちたいと思っています。私たち日本人は学校の授業などで書道に触れていますが、外国人にとっては初めての経験。外国の方に自分の国の事を知ってもらうのはいつだってうれしいことです。それに、彼らには日本人にはない表現方法があり、「こんな書き出しがあるんだ。こんな払い方があるんだ」と、感動し、自分の書にも取り入れています。日本人からすると正しくない書き方と思われるかもしれませんが、芸術に間違いはないですから。外国の方々にも、書道という異文化を通して、交流の幅を広げてもらい、新しい自分に出会ってもらいたいですね。

海外に行くときには、いつも筆と硯をトランクに詰めていきます。知らない国で私の書がどんな表情を見せるのかは、学生時代から変わらない楽しみです。現地の方に書いてもらうことももちろん楽しみ。大胆な書き出し、繊細な払い、力強い跳ね上がり。世界中の個性的な書と出会えることにとてもワクワクしています。

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