インドで日本語教育を支える
小学生の時の夢、現実に
- 国際交流基金・日本語専門家
- 井元 麻美 さん
- 大学院 博士前期課程2018年度修了
日本語教師から日本語専門家へ
小学生のときから、「海外で働きたい」「人の役にたちたい」と思っていました。本当に夢が実現し、胸が熱くなりました。高校生のときに、オーストラリアでの英語研修に参加。日本人の日本語教師と出会い、その生き生きとした姿がとても輝いて見え、「私の将来の仕事はこれだ!」と。本学の日本語学科を卒業後、独立行政法人国際交流基金の仕事で、インドネシア、タイ、フィリピンで、現地の学生や来日を希望する看護師・介護福祉士候補者に日本語を教えました。
2013年、タイで2度目の日本語教師生活を送っていた当時、国際交流基金の「日本語専門家」として活動している日本語学科の先輩と出会いました。「日本語専門家」というのは、派遣された国の教育機関で日本語講座を担当したり、現地の教師への助言・指導、カリキュラム編成や教材作成等の支援を行ったりと、さまざまな業務があります。先輩は現地の日本語教育の支援を行っていました。私も、先輩のような専門家になることを次の目標にしました。「日本語専門家」への応募資格として「日本語教育関連分野で修士号以上の学位を有すること」が必要です。e-learningや語彙習得の研究にも興味があり、大学院博士前期課程に入学。今春、修了し、今はインドで日本語専門家として働いています。
タイの日本語のイベントで生徒たちに折り紙を教えたときの写真
大学院の学びは、一生の財産
大学院の授業では、当初、今までの経験や考えをもとに授業やゼミに参加していました。日本語指導法(対象者別指導法の実践)の授業では、留学生別科で大学院生が授業をします。授業準備のために同級生と教案を検討したり、教案への意見を言ってもらいました。その結果、気付いたのは「私は、昔からあまり進歩していない」。教材の見せ方、授業の進め方を再度見直しました。
TA(ティーチングアシスタント)として日本語教壇実習に参加した際の集合写真
所属していたゼミは少人数で、仲間とそれぞれ研究している内容を発表し合い、意見を言い合えました。ゼミでe-learning、語彙習得を研究しているのは私だけ。別の研究をしている人に、e-learning、語彙習得の研究内容をどのように説明すればいいのか、どのように論文を書けばいいのか。悩み、試行錯誤の日々でした。引っ込み思案な私は、研究会や学会で発表することなんて、考えもできませんでしたが、ゼミの中西久実子先生のアドバイスを受けたりしながら、大学院在学中に学会や研究会で発表、論文等の投稿もしました。その2年間の学びは、今の私にとって大きな自信であり、一生の財産です。
今春赴任、試行錯誤の日々
現在、「日本語専門家」としてニューデリー日本文化センターで働いています。業務は主に、小学校から高校の日本語教育の支援を行っています。先日、インド人の日本語教師に対して、初めてワークショップを行いました。テーマは、「敬語を使って話しながら、来学した日本人を教室まで案内しましょう」。3人でそれぞれグループをつくり、活動してもらいました。ところが、指示を伝えても、勝手に別のグループと合同で始めたり、異なる活動が始まるなど予想外のことが起きました。まだまだ、インド人の先生たちへの理解が足りないなと反省しました。
ワークショップの様子
インドへ来てまだ2か月。日本語教育の現状を学んでいる途中ですが、大学院で学んだことや東南アジアでの経験を活かし、インドに合ったアレンジをして、日本語教育を支えていきたいと思っています。