海外で武者修行
粘り強く、アクティブに
- 外国語学部ブラジルポルトガル語学科4年次生
- 松岡 裕紀 さん
- 兵庫県 西宮北高校出身
自分を変える!
夢だった高校の語学教員をめざし、京都外大へ進学。ポルトガル語だけでなく、英語の修得にも力を入れる日々でした。
2年次の2015年9月、教職課程の学外活動で訪れた特別支援学校。最終日、職員室で「教員に向いてない」と、担当の先生に言われて。「あれやって」「これやって」と甘えてくる1人の児童につきっきりで、クラス全体に気を配れなかったのが理由でした。「諦めたほうがいいのかな」。数週間悩んだ結果、教員の道を断念。
2016年9月。3年次の僕は、翌年3月からスタートする就職活動に向けて、学生生活を振り返りました。その時、力を入れていた語学が身についてないと気づいたんです。課題をこなすだけで、自ら進んで学んでいない。受け身だったなと。
ふと、教職の学外活動を思い出しました。
「子どもの要求に応えるばかりで、自分から行動してなかった」
もっと自発的になりたい。壁に突き当たっても、諦めずに乗り越える力を身につけたい。考えた答えが「休学して、海外に行く」でした。両親に相談すると「挑戦してみたら」。2016年11月から休学し、アルバイトで資金をため、2017年2月にニュージーランドへと渡りました。
やると決めたら諦めない
ニュージーランドでは、家や宿泊施設の仕事を手伝う代わりに、寝食を提供してくれる無料のホームステイ「ワークエクスチェンジ」を利用。オークランドやクライストチャーチなど3都市に滞在しました。
日々、掃除や牛の放牧、森林歩道の整備など手伝いながら、積極的にホストファミリーらとの会話で、英語を勉強。作業で手を火傷したり、1週間早く追い出されるなどトラブルもありましたが、「やると決めたことは、諦めずにやる」と、踏ん張りましたね。
2つの家庭と1軒のホテルにお世話になり、2017年8月末帰国。後日受験したTOEICでは、今まで到達できなかった800点を超えました。「粘り強く取り組めば、結果につながる」。自信がつく経験でした。
次に選んだ挑戦は、スペイン語の習得です。
スペイン語を学びながら、ラテンアメリカの文化を経験できる留学制度「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」に応募。採用されて、2018年8月から1年間、国費留学生として首都メキシコシティにあるメキシコ国立自治大学に語学留学しました。
現地では、授業で学んだスペイン語を、その日のうちにホームステイ先で使うよう心がけました。
ホームマザーは、日本に留学経験のあるスペイン語教師。間違いを直してもらいながら日々会話するうち、メキメキと上達。日本語を学ぶメキシコ人学生との「ランゲージエクスチェンジ」(外国人パートナーと母語を教えあう勉強法)も効果的でしたね。今ではポルトガル語や英語よりも話せるようになったと思います。
2019年7月に帰国。
復学後は、腕試しに、スペイン語やポルトガル語の弁論大会にチャレンジしました。最初は入賞もできず散々な結果に。その悔しさをバネに論旨の練り直し・ネイティブ教員の発音指導を受け、2020年2月、大阪・サンパウロ姉妹都市協会が主催する「第10回ポルトガル語スピーチコンテスト」で優勝することができました。諦めずに取り組んだ成果です。
欲張りな毎日を送りたい
休学した3年間で、6ヵ国訪問。
南十字星や天の川が手に届きそうな、ニュージーランドの星空。リュックひとつで巡ったオーストラリアの、刺すような日射し。屋台が立ち並ぶ中、ライフル銃を持つ警官にひやりとしたメキシコ。他にもイタリアやフランス、ベトナムなど訪れました。海外の生活では失敗も多く経験しましたが、何があってもへこたれない、タフな考え方が身についたと思います。
次の挑戦は、ポルトガル語やスペイン語の語学検定を受け、合格すること。そして企業に就職してノウハウを学び、ゆくゆくは事業を立ち上げたい。その経験を次の世代に伝える活動も考えています。
教員を諦めたとき、僕の世界が動き出しました。
挫折がなければ、自分磨きしようとは思わなかった。小さなことでもコツコツと積み重ねれば、自信がつき、新しい自分を発見できる。僕の「武者修行」はまだまだこれから。挑戦し続け、やりたいことをやり尽くす。そんな欲張りな日々を送りたいですね。