コロナ禍を乗り越えて
大学院での研究
- 大学院 博士前期課程 2年次生 言語文化コース/東アジア地域
- 侯 万程 さん
- 中国・貴州省(苗族)出身
語学研究の道へ
日本語学校での勉強を通して日本語に魅了され、もっと日本語を学びたいと考えるようになりました。日本語学校の先生から、日本語をより詳しく学べる京都外国語大学大学院をすすめられ、入学を決めました。
コロナ禍での授業
京都外国語大学大学院へ入学した年、新型コロナウイルス感染症の影響でほとんどの授業がオンラインで行われました。人生で初めてのオンライン授業で不安に思いましたし、先生やクラスメイトと教室で顔を合わせていないので、授業を受けている実感がわかないときもありました。
そのような状況で数は少ないですが対面授業も行われ、それがとても印象に残っています。これまで受けてきた授業は、教科書に沿って先生が説明をするという一方的なものが多かったですが、大学院では、あるテーマについてまずは学生が意見を述べます。先生はそれを聞いて理解してから、否定的な態度をとらずに先生の意見や考えを教えてくれました。
また、先行研究などで分からないことがあったとき、教科書に答えがあるわけではないので先生も明確な答えが分からないことがありました。そのようなときは一緒に考えてくれたので、友だちのように気軽に質問できる関係でした。
大学院での研究
私の修士論文のテーマは「自然言語における代用形の特質に関する研究:日本語、中国語、英語の比較を通して」です。入学当初の研究テーマは全く別のもので、日本語外来語に関する研究でした。1年生の秋学期に、彭飛先生の紹介で小野隆啓先生とお話をする機会がありました。小野先生は主に言語構造的な授業を担当していることは知っていましたが、当時の私は生成文法や統語論に関して知識がありませんでした。小野先生から日中対照の本をいただき、そこから気になるテーマをいくつか挙げ、一つ一つ修士論文のテーマとしてふさわしいかどうか相談しました。その後1~2つのテーマに絞り先行研究を読み始めました。論文を完成させるには、多くの先行研究を読みしっかりと理解する必要がありますが、専門知識がないため、内容を理解することができませんでした。それでも小野先生は時間をつくってくださり、研究室で私の質問に親切に答えてくださいました。小野先生のおかげで、生成文法や統語論など、言語学の魅力や面白さを感じ、修士論文完成に向けて自信がつきました。
また、論文執筆のために、小野先生は関連する論文や本をすすめてくれました。時には分からないことを自分で調べて解決することもあったので、主体性や問題解決力も身につきました。これは大学院に通ったからこそ身につく力だと思いますし、これからの人生にきっと役立つと思います。
大学院での学びを生かして
修了後は日本での留学生活で身につけた力や語学力を仕事に生かしたいと考えています。例えば、中国で日本語教師になる、中国人が日本へ観光に行く時に通訳や案内をする、中国にある日本企業に就職など、中国と日本の懸け橋になれるように考えていることはたくさんあります。新型コロナウイルス感染症の影響でしばらく中国にいる家族と会えていないので、修了後、中国に戻ってからこれからの進路を決めたいと思います。