京都外国語大学・京都外国語短期大学

人々が行き交う
ミニシアター
出町座・支配人

  • 田中 誠一 さん
  • 2001年3月イスパニア語学科卒業(2007年から外国語学部スペイン語学科に改称)
  • 2018.11.16

「何もしない」をする

「映画×本屋×カフェ」が融合した出町座は、桝形商店街の中ほどにあり、大学生から年配者まで幅広い年齢層の映画ファンや、その空間に居心地の良さを求めて、朝からひっきりなしに人が訪れます。年齢だけではなく、赤ちゃんを抱っこしたお母さんやアーティスティックな出で立ちのおじさんまで、キャラもタイプもさまざまな人々が、種々多様な目的で出会い、交差点のように調和し合っている不思議な空間です。

「映画が好きで映画に関わって生きていける、こんな有り難いことはない」不眠不休、多忙を極める田中さんは、今日も受付に立ってチケットを切りお客様を迎え入れます。

どのような学生でしたかと尋ねると、上映される映画に自身の学生生活をなぞらえて、「くまのプーさんと一緒です。〝何もしていないをしているのさ″という感じでしたね」。そして近頃の学生をみて感じることは、「大人がお膳立てをした枠の中で泳いでいる学生が多い気がします。器は自分でつくるもの。自分の生き方でしか器はできないと思うんです」と。

カフェでは映画にちなんだメニューも。マニアックで厳選された本の数々が映画と影響し合いながら立体的な体験ができる場になっています

劇場はハブとなる場所

「映画を撮るというのは、ある種の祭りだと思っています。人がわぁっと集まって撮影し上映する。一瞬で終わる打ち上げ花火のようなもの。祭りをひと時にしない、そのために何ができるかと考えましたね」。出町座の前身、元立誠小学校(中京区)の立誠シネマは、京都市の管理で地域の自治の場でした。映画を見せるだけでは営利的になってしまうので、行政の場で出来ることを模索した末、人材育成や学びとしての映画という発想から「シネマカレッジ京都」を開講することに。俳優、脚本、プロデュースを学び、巣立った受講生は映画界で活躍し始めています。

出町柳に移転してまもなく商店街の理事に推薦され、七夕や秋の売り出し企画、寄り合いなど商店街の仕事にも追われているそうです。この地へ来て新しいファンも増え、地域から文化を発信する拠点となっています。

「大学の先生にもっとこの劇場という空間を利用してほしいです。学生と一般の人たちが交流し、いろんな文化と出会う、劇場はそんな窓口でありハブになる場所だと思っています」と、最後に熱く語ってくれました。

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