京都外国語大学・京都外国語短期大学

牛飼いがつくる
フランス農家伝来のチーズ

  • 農家兼チーズ職人 吉田牧場
  • 吉田 原野 さん
  • フランス語学科 2004年度卒業
  • 2019.04.16

大学時代はカメラを持って欧州各地へ

僕の実家は、岡山で酪農牧場兼チーズエ房を営んでいましたが、学生のときはまさか自分がチーズ職人になるとは思っていませんでした。
大学時代は、写真部の活動にのめリ込んでいました。自分で現像まで行う銀塩写真(アナログ写真)に魅せられ、毎年夏休みになるとーカ月アルバイトをしては、ーカ月カメラを持って海外を旅する、そんな学生生活。幼い頃、父と旅行したフランスなど欧州によく赴きました。
きっかけは、3年次のときの父親からの電話。「お前が継がなければ、牧場を閉めようと思っている」。その言葉を聞いて、自然と「家業を継ごう」という気持ちになったのを、今も鮮明に覚えています。迷いは一切ありませんでした。もともと料理やお菓子作りが好きだったこともあるかもしれません。ですが何より、多くの苦難を乗り越えて、日本でのチーズ作りを開拓した父の想いとその技術を受け継ぎ、守っていきたいと思ったのです。

 

伝統的なチーズ作りを学ぶためにフランスへ

卒業後、実家に戻って父に師事し、こだわりのチーズ作りを学びました。フランス語で「農家製の、手作りの」といった意味の「フェルミエ」というチーズ製法。乳牛を飼育するところからスタートし、その搾りたてのミルクを原料に、丁寧に手作りします。生産量は限定されますが、品質の高い魅惑的なチーズができあがるです。 チーズ作りに従事して1年が経過する頃には、更なる品質向上を目指して、本場フランスで伝統的なチーズ製法を勉強したいと思うように。小学生の頃、父親と一緒に訪れたフランスの農家に手紙を送り、3カ月ほど住み込みで働き、チーズ作りの工程や熟成方法を学びました。そこから次々と7軒の農家を紹介してもらい、修行を重ねました。

 

自然が呼吸する速度を大切にしたチーズ作り

現在、吉田牧場では、この土地に適したブラウンスイス種の乳牛を、自然放牧徹底して飼育し、搾乳の量も調整しています。ストレス少ない環境で育てるからこそ、良質のミルクが生まれるのです。
チーズを“育てる“ためのカーブ(熟成庫)は、空調機械を置くのではなく、地下に作製して自然の力を活用することにしました。1年を適じて温度をある程度一定に保てるので、緩やかに熟成が進みます。                                    おかげさまで、吉田牧場のチーズは土地に根ざしたおいしいチーズと認められ、全国の料理人やお客様から注文をいただいています。これからも父や家族と一緒に、自然の力を大切にしながら、自分たちの呼吸する速度で、真摯にチーズを作っていけたらと思っています。

 

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