人を思いやる心が
「平和」を築く
- 外国語学部英米語学科
- イアン ギブソン 教授
- イギリス・リンカーン出身
父の祖国での紛争が人生観を変えた
少年時代を過ごしたイエメンは、紛争や貧困などの問題が取り巻く国でした。父が内戦に巻き込まれ、幼心にも物事に対する見方が大きく変わったのです。平和な世界をつくるためにはどうすればいいのか?それが平和教育や紛争解決について研究するようになったきっかけです。
コロンビア大学では多くのことを学びました。たとえば大学でのグループワークも一つの社会であり、みんなで目の前の課題について議論し取り組む姿勢が、いかに大切かということです。
国際教養学科だったクレイグ スミス先生とも、多彩なテーマについてよく話し合ったことを覚えています。クレイグ先生は、さまざまな点で考えが一致する同志でもありました。たとえば平和とは、何よりも心の持ち方が問われるということ。紛争解決も大切ですが、それだけでなく、身近な人たちの人権を大切にすることが平穏な暮らしを実現することにつながるのです。また、人生には多くの困難が待ち受けていますが、それらも自分を成長させてくれるものであり、逃げてはいけないのだと考えていました。
クレイグ先生から引き継いだもの
クレイグ先生は、JUEMUN(日本大学英語模擬国連)の創立メンバーになるなど自らが率先して行動することで、大事なことは人任せにしていてはいけないのだと私に教えてくれました。その意思を引き継ぎJUEMUNの実行委員となった私は、クレイグ先生と同様に学生が主導となって運営することを望んで欲しいと思っています。JUEMUNでは、国連の掲げる17のSDGs(持続可能な開発目標)について話し合います。私が指導しているのは、JUEMUNの精神でもある国際社会の一員としての生き方。参加した学生には、国連の仕事の重要性を実感し、国際社会の一部を担うことの大切さを知ってほしい。世界で解決しなければならない問題が発生し続けている限り、JUEMUNの活動も止まることはありません。できる限り学生たちの手助けをしたいと考えています。
ピーター・パンの作者、J・M・バリーは、「常に自分が思っている以上に親切にするべきです」と言いました。学生たちには、学ぶことを楽しみ、私たちが過ごす、この素晴らしい世界の一員であることを実感し、発見することの喜びを体感し続けてほしいと思います。自分がこうしてほしいと思うように、他人にも心を込めて接することが何よりも重要です。それが京都外大の精神であり、私の教育目標でもあるのです。
■先生の愛読書・マルクス=アウレリウス著『Meditations』■ ローマ皇帝であり、哲学者であった彼が自身を省みるために書き綴った瞑想録。人生をどう生きるか、ということに興味のある人におススメです。