京都外国語大学・京都外国語短期大学

淡路島の練り物のおいしさを
発信したい

  • 株式会社オキフーズ 総務広報担当
  • 沖 晏怜(おき あんれい) さん
  • 中国語学科 2013年度卒業
  • 2020.10.01

創業100年を超える、かまぼこ店に生まれて

淡路島の福良で100年以上続く、かまぼこ店「オキフーズ」の長女として生まれました。大学へ入学したときは家業を継ぐ気持ちはまったくなかったので、経済学部でも食品関係の学科でもなく、中国語学科を選びました。海外と関連のある仕事をしたいと思っていたのですが、英語がすごく苦手。アジアが好きだから中国語、という程度の気持ちでした。

私の名前「晏怜」は中国語学科でも違和感のない名前。先生に「中国人?」と聞かれたこともありましたが、父親が好きだった漢字をつけてくれたのだと聞いています。学生時代は、バレーボール部に所属。部活以外でも多くの友人に恵まれて、楽しい学生生活を送りました。短期留学で中国へ行ったときには、エストニア共和国出身の主人に出会いました。

卒業後は希望通り、大阪の商社に入社。この会社も食品関連ではなくて、貿易実務の仕事をしていました。3年後に、会社を辞めて家業を手伝おうと思ったのは、「私のせいで100年以上続いてきた会社を無くしてしまうのは、もったいない」と思ったからです。小さな会社ですが、社員が17人いて、その家族もいらっしゃいます。彼との結婚も考えていた時期で、「結婚を優先したいけれど、家業も継がなければ後悔してしまう」と、二者択一を迫られました。その思いを彼に伝えると理解してくれて、結婚を機に日本へ。結婚と会社の存続との両方がかなえられることになりました。

若い世代に練り物のよさをアピールしたい

私の名刺には総務広報担当と書かれていますが、製造と販売以外の裏方の仕事は何でもしています。いつも6時半ぐらいに出社して、まず冷蔵車でスーパーや給食、宿泊施設などへ配達。帰ってからも、商品の発送の準備、経理事務、淡路島以外のお客さまの営業の窓口などの仕事があります。

新店舗のオープン前には、立ち上げの準備に追われていました。2020年3月13日、道の駅福良前の「練物屋本店」に続く2店舗目を、明石海峡大橋のすぐ下にある「道の駅あわじ」に出店。練物屋は、注文を受けてから揚げ、出来立てを味わっていただくスタイルのお店。若い世代のお客さまにも、イートインで練り物のおいしさを楽しんでいただいています。

淡路島に帰ってきてから、練り物のよさを改めて認識することが多くなりました。今は、そのよさを若い世代の人にお伝えすることを意識しています。練り製品は、かまぼこ、ちくわ、揚げかまぼこに大きく分かれるのですが、ちくわと揚げかまぼこは冷凍して長期保存ができます。それを電子レンジで解凍するだけで、一品増やせます。ほかにも、調理は切るだけ、魚が原料なので、たんぱく質が豊富でヘルシーと、いろんな長所があり、実は若い人にも便利な食材だと知っていただきたいと思っています。

商品やSNSを通じて淡路島のよさを発信

オキフーズのこだわりは、島の材料をできるだけ使うこと。淡路島には魚をはじめ、食材が豊富なので、練り物にも季節ごとに使い、店頭にはいろんな商品が並んでいます。サクラマスやフグといった高級食材が使えるのも、淡路島ならでは。島以外の人は、これを食べてフグが淡路島の名産だと初めて知ったという人もいます。

オキフーズのインスタグラムでは淡路島のよさを発信。見た人には淡路島に来てほしいので、観光客になりきって写真を撮りに行くようにしています。そのほうが、地元のよさがよくわかるからです。SNSで発信するときは、京都外大で学んだ語学が役立っています。イベントで海外へ行くこともあり、香港では現地の人たちと中国語で交流できましたし、淡路島にも海外のお客さまが増えているので、英語と中国語のメニューも作りました。

感謝の気持ちを忘れず、地元に100年分の恩返しを

うれしいのは、やはりお客さまの「おいしい」という一言。小学生の社会見学のとき、工場で揚げたての練り物を子どもたちに試食してもらうと、「もったいないから」と言って、ちびちび食べる子もいて、思わず笑顔になります。「おいしい!」と叫んでくれたり、「あと何十個も食べたい!」「またお母さんに買ってもらおう」などと言ってくれて、本当にうれしいです。

社会見学の後には、お礼の手紙や絵をよくいただくのですが、事務所に置いておくだけでもったないと思い、配送用の冷蔵トラックに描いてもらった絵をプリントすることにしました。今、淡路島を2台の冷蔵車が走っています。トラックができたときには子どもたちにお披露目会もして、喜んでもらえました。

これからは、オキフーズを存在意義のある会社にしていきたい。100年以上支えてくれた地域の人たち、スタッフの人たちへ感謝の気持ちを忘れず、どんな恩返しが自分たちにできるのか探して、一つずつ目の前にあることから、喜んでもらえることをしていきたいです。

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