京都外国語大学・京都外国語短期大学

現場に触れる楽しさを体感しよう

  • 国際貢献学部 グローバル観光学科
  • 村山 弘太郎 准教授
  • 2021.10.16

京都のまちは学びの宝庫

日本固有の歴史や伝統を継承してきた京都は、さまざまな魅力があふれているまち。本学には京都の文化を題材に学べる科目が充実しています。京都にゆかりのある講師陣がリレー講義を行う「京都文化論」で基礎知識を修得。それから伝統文化や芸能、祭り、食文化など興味あるテーマを掘り下げる「京都研究プロジェクト」でフィールドワークに取り組みます。個人またはグループでテーマを決めて調べ、研究成果を多言語に翻訳してウェブ上で発信するのです。

私はコーディネーターとして外部講師と交渉したり、学生へテーマ設定や調査方法などを指導しています。ここで大切なのは、ガイドブック的な情報発信ではなく、外国人へ伝えたい京都の魅力とは何かを考えてテーマを発掘することです。自国の伝統や文化を知ることは、日本人としてのアイデンティティを知ることにつながります。留学や就職で異なる文化圏に飛び出したとき、比較対象として日本の文化を知っていると、相手の文化や社会を理解しやすくなり、国際理解も深まっていくと考えています。

異文化理解は自国の文化の深掘りから始まる

私自身、京都で生まれ育ち、江戸時代の京都の祭礼について歴史学・民俗学的な観点から調査・研究を行ってきました。京都には千年以上も続いている祭りが数多くあり、信仰とのつながりなど深く生活と根付いています。例えば祇園祭の山鉾(※1)は氏子(※2)が代々継承してきたものです。まちの歴史の一部としてお祭りが存在していることにすごさを感じます。

そうした歴史的な背景を知らない外国人が、お祭りの何に興味を持ち、どのように楽しんでいるのかということにも興味があります。海外からの旅行者を対象にした満足度調査も、学生と一緒に取り組みたいテーマの一つです。豊作祈願や感謝祭、慰霊といったお祭りの意味や由来を外国人に教えるならば、相手の文化に寄り添った形での説明、いわば文化の翻訳をしてあげると伝わりやすくなるでしょう。そのためにも、まず私たち自身が自国の文化を知らなくてはいけません。

そんな気持ちから、機会さえあれば学生をフィールドワークに連れていったり、お祭りに参加させたりしています。すると、現場に出る楽しさを実感した学生たちは自発的になるんですね。外国人向けのフリーペーパー「ENJOY KYOTO」とコラボし、記事制作にも挑戦しています。

京都を中心とした周辺地域は、まち全体がキャンパス。一歩外に出れば、教科書に載っているような著名な寺社仏閣や、歴史的な建築物などがいっぱいです。恵まれた地の利を生かした学びで京都の魅力を再発見してください。

※1 山車(だし)の一種で、台上に山形をのせた山と真木をのせた鉾がある。現在33基の山鉾が巡行します。
※2 地域を守る神が「氏神(うじがみ)」であり、同じ氏神を信仰し、その周辺に住んでいる人たちが「氏子(うじこ)」。

※掲載内容は取材当時のものです

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