フランス語学習の先輩として学生と共に学び続けたい
- フランス語学科
- 森田 美里 講師
「舌打ち音」は日仏で意味が違う
フランス語の日常会話には、よく舌打ち音が出てきます。日本語で書くと「チェッ」「チッ」と表記される音です。相手の話を真剣に聞こうとしている時や、努力して相手に何かを伝えようとしている時、頻繁に舌打ち音が発せられることがわかっていて、ネガティブな意味はありません。一方、日本では、舌打ちはいらだちや不快感を表すと考えられています。私は、フランス旅行をした日本人から「店員さんに舌打ちされて嫌だった」と聞かされたことがあります。ここには、日本とフランス語圏の言語文化の違いから来るコミュニケーションの問題が含まれています。
何歳からでも勉強は始められる
このようなフランス語話者特有の話し言葉の習慣を発見したことがきっかけとなって、私は言語学の研究者としての道を歩むようになりました。この発見は、私が日本の言語文化を背景に持ちながらフランスで暮らし、日本語とフランス語を客観的に比較できる立場にいたからこそ見いだせたのではないかと考えています。振り返ってみれば、私の道のりは遠回りだったようにも感じます。会社を辞めて日本語教師の資格を取り、フランスの大学で日本語教師として2年間勤務してから帰国。大阪の日本語学校で5年ほど勤めました。30歳になった時、一念発起し、日本語教育を体系的に学ぶため大学院に進学。フランス語の研究に入ったのは、博士後期課程からです。しかし、そのおかげで「何歳になっても勉強は始められるし、再開できる」という私の確信は、大変強いものになりました。これまでの活動の積み重ねが今の私を作っていると思っています。
いつも目標を持ち続けて
学生と向き合う時、私は自分を「フランス語学習者としての先輩」と位置付けています。それは私自身が「生涯、勉強だ」と考えているからです。常にフランス語のニュースに触れ、本を読み、翻訳も行っています。この2年ほどは、新型コロナウイルスの影響で、どうしても海外留学や国際交流が難しくなっています。しかし、それでも外国とつながることはできます。インターネットを介して最新の情報を得ることも可能です。今は、将来自由に学び、交流する日が戻ってきた時のための準備期間と考えてください。決して夢を諦めないで「たっぷり予習できる時間が与えられた」と考え、その日に備えてほしいと思います。