京都外国語大学・京都外国語短期大学

戦争を理解し
平和を永く維持するための視点を

  • 短期大学キャリア英語科長
  • 布施 将夫 准教授
  • 2022.01.13

欧米史を軍事から読み解く

 2011年から本学で教鞭を取るようになりました。現在は、欧米の歴史、文化、思想について幅広く教えています。
 専門は19世紀後半における欧米の軍事史です。そのため、例えば鉄道の歴史についても、授業では兵器、食糧や人員の補給など、一般にはあまりスポットを浴びない面から紹介します。
 鉄道は平時から重要な輸送手段ですが、戦時には軍事上の物流の担い手として重要視され、国有化されることが多い。それが終戦を迎えた後にどうなっていくのか。鉄道に関わって働く労働者の福祉を含め、さまざまな観点から見つめていきます。

先生の著書『補給戦と合衆国』(松籟社、2014年)

先生の著書『欧米の歴史・文化・思想』(晃洋書房、2021年)

変化の激しい近現代史に興味を抱く

 私の祖父は日中戦争で武漢に出征し、祖母は大阪空襲に遭いました。戦争を研究領域としているのは、幼い頃からこうした家族の話を通じて「戦争体験」が身近にあったからかもしれません。大学院生だった当時、変化が激しい西欧の近現代史をとても面白いと感じ、これを専門分野にしようと決めました。修士の頃はドイツ軍事史を研究。博士過程に進学してから、南北戦争から第二次世界大戦までのアメリカに興味を持つようになりました。
 欧米の歴史を研究しながら、日本について考えることがよくあります。戦前日本の軍事組織の形態は、ドイツから輸入したもの。しかしその際、組織が抱える弊害まで輸入してしまったのです。第二次大戦の際、日本では天皇のもとに参謀本部と陸・海軍省が並び立つ制度のもとでシビリアンコントロールが効かなくなり、軍部の専横を許しましたが、その状況は第一次大戦下のドイツで、参謀本部が皇帝や議会の言うことを聞かず暴走したことを思わせます。今後は、日本の軍事組織についても研究を進めたいと考えています。

歴史を学ぶ意義
戦争について考える意味

 学生にとって歴史を学ぶ意義は、物事の因果関係を考える習慣がつくという点にあると思います。「何が原因か」を深く考えることができれば、社会に出てから仕事の上で何らかの問題が起きた時も、解決への緒をつかめるのではないでしょうか。
 授業の際に気をつけているのは、客観性、公平性を重視するということです。例えば第二次大戦時をテーマにした講義を、韓国や中国からの留学生も聞いているのです。どこの国の人であっても抵抗なく聴けるように、ニュートラルな歴史観で話さねばならない。そのことを常に心がけています。
 戦争について研究することは、より戦争を少なくする、すなわち平和について研究することでもある。そう考えれば、軍事史の研究は本学の「言語を通して世界の平和を」という建学の精神ともつながってきます。私たちは歴史を学び、理解し、そこから得た考えを未来につなげていくことが大切だと感じています。

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