日本で暮らす
ムスリムを
応援しています
- NPO法人 日本ハラール協会
- 井村 華恋 さん
- ドイツ語学科 2019年度卒業
留学から始まった新たな交流
私の勤めるNPO法人日本ハラール協会は、イスラムの法に照らして合法(ハラール)である食材、料理などが日本で暮らすイスラム教徒に届くようにすることを第一の目的としています。そのため、日本の食品や化粧品メーカーなどにハラールについてのセミナーや講習を開催し、製品のハラール認証活動をしています。さらに、製品のハラール化を通じたイスラム諸国への輸出サポートも行っています。
協会で働くようになったきっかけは、学生時代に留学していたドイツで、イスラム教へ改宗したこと。ハラールについては、留学前にインドネシア人の友人から教えてもらって少し勉強していましたが、ドイツでシリア人やパキスタン人と仲良くなり、ムスリムに触れる機会が増えたことで興味を持つようになりました。ムスリムと親しく交流する以前は、私とは大きく違う考えを持つ人々なのだろうと想像していましたが、豚肉を食べないなど習慣が少し異なるだけで、さほど変わりはないと気づいたことを今も覚えています。
ハラール認証の普及を進めるために
ドイツではハラールの食品が手に入りやすかったので、買い物にも外食にも困りませんでした。しかし帰国後は、例えばお店で肉を食べたい時にも、そこで出される料理がハラールではないことが多く、葛藤を抱えました。そんな中で就職活動を進めていた時、日本ハラール協会がスタッフを募集していることを発見。日本で暮らすイスラムの人々の役に立てる仕事があると知り「ここで働こう!」と決めました。
現在は主に事務の仕事を担当。ハラール講習の準備や問い合わせへの対応、参考文献の翻訳、認証企業とのやりとりなどを担当しています。
問い合わせ内容はさまざまで、食品メーカーから「製造ラインが非ハラール食品と一緒の場合はどうするのか」と聞かれたことや「医療製品に非ハラール素材が含まれていないか」という病院からの質問もありました。さまざまな問い合わせに対して臨機応変に対応できるように日々勉強をしています。
現在へと続く学生時代の出会い
職場には日本やマレーシア、エジプトなど多様な国籍のスタッフが在籍しています。仕事の中で意思を伝える大変さを特に実感するのは、我々の認証活動について監査される時。海外から来られた監査員とのやりとりは緊張が走ります。ただしこの点に関しては、学生時代にいろいろな人と交流してきたおかげで、かなり度胸がついたように思います。
多忙な業務に追われる毎日ですが、お店で認証マークがついた商品を見かけると徐々に日本にハラールが根付いていくのを感じ、とてもうれしくなります。将来は、大学で学んだドイツ語を生かして、ドイツの認証団体でも働いてみたいと考えています。留学先でイスラム教と出会い、仕事選びへとつながっていった学生時代。京都外大での学びが私の原点になっていることを実感しています。