「アリアリ!」
平昌冬季オリンピック
- 通訳ボランティア・レポート
- 英米語学科2年次生
- 井田 瑞季 さん
- 福岡県 城南高校出身
私は2月1日から2月26日まで、平昌冬季オリンピックの通訳ボランティアに行ってきました。配属先は、平昌から車で1時間ほど離れたチョンソンのアルペンスキー会場です。
写真)チョンソンに到着。アルペンスキー・オリンピック会場
あいさつだけで、共感し合えた
歴代最も寒い冬季オリンピックと報道されているように、平昌に着いたときは本当に寒くて。体がだんだんと慣れてくると、観客の熱気に少し温かいかなと思えるほどでした。
前回、2017冬季アジア札幌大会の通訳ボランティアでは、マカオのアイスホッケーチームの通訳でしたが、今回の任務は観客の誘導案内です。選手側と観客側、それぞれの経験で学んだことがありました。
歩道での誘導では、会場まで歩いて登る観客を応援するように「アリアリ アンニョンハセヨ!」と声をかけます。アリアリとは、元気づけの造語のようなもの。「こんにちは、ファイト!」と韓国語で応援すると、韓国人だけでなく、各国の観客も、私たちの掛け声をまねて「アリアリ!」と返してくれます。言葉が通じなくてもあいさつだけで、世界中の人たちと、たのしい気持ちを分かち合うことができます。
写真)選手が宿泊するホテル。観客に「アリアリ アンニョンハセヨ」と笑顔で声をかけます
写真)世界各国から訪れた観客は、自国の選手が出場すると、思い思いの伝統衣装や楽器などで声援します。フォトスポットの任務では、フォトスポットのあるステージから競技場がよくみえるため、観客がステージに上がってきてしまい、安全確保の通訳・誘導がたいへんでした
通訳ボランティア、千思万考
私たちのスーパーバイザーは、日本語が流暢な韓国人の男子学生でした。組織運営の人は、韓国語しか話せないため、指示はスーパーバイザーが翻訳して伝えます。
しかし、大会がはじまると、時間の問題などで、指示はすべて韓国語で行われました。私は韓国語がわからないので、外大連合の仲間や、韓国人の学生がフォローしてくれましたが、指示がわからず戸惑いました。また、フォトスポットのステージに上がってきてしまう観客に、英語で注意を促しても、韓国人の年配の観客には伝わりません。
今回の経験で分かったことは、国際大会であっても、開催国の母国語で指示されるため、通訳ボランティアは開催国の言語をしっかり勉強して臨むほうがベターだということでした。外大生は英語プラスもう1言語を身につけておくと、多言語対応が必要な国際大会の場で、充実感のある活躍ができると思います。
写真)会場には、グッズなどを買い求めることができるストアがあります。競技の合間に伝統舞踊やダンスが披露され、街では人気K-POPグループの無料コンサートも開催
写真)オリンピックパークでは、各企業がさまざまな催しをしています。会場を盛り上げるため設置された大きなコカコーラの自動販売機。その自動販売機に大きなコインを入れたら、防寒グッズの詰まったトランクが当たりました。勤務の合間に楽しい休日を過ごしました
東京オリンピックに向けて
私の目標は、東京オリンピックで通訳ボランティアをやることです。選手側と観客側、それぞれ経験して感じたことは、外大生だからこそできる通訳ボランティアの関わり方。
日本で開催される場合も、世界中から参加する選手や関係者の通訳に、多様な言語を学んでいる外大生が、運営に近いポジションで関わることができれば、外大生の力が十分に発揮できると思います。東京オリンピックでは、今までの通訳ボランティアの経験を生かして、主体的な活動ができるようになりたい。
東京オリンピックを経験したのち、京都外大で学んだことや、世界で学んだことを生かして、地元九州の地域活性化に貢献したいと思います。
写真)私のIDカードのストラップは、冬季札幌オリンピックで選手や観客と交換した各国のバッジと、京都外大のロゴの入ったバッジ、そして新たに平昌オリンピックの希少なバッジが追加されまた。世界各国の人たちとバッジ交換をするのも、オリンピックのたのしみのひとつです。チョンソン・アルペンスキー会場を担当したボランティアのみなさんと記念撮影