京都外国語大学・京都外国語短期大学

「言葉の威力」を高め、
リーグ優勝に貢献したい

  • 株式会社日立柏レイソル 通訳
  • 焼田 功 さん
  • ブラジルポルトガル語学科 2006年度卒業
  • 2018.06.13

ブラジルでボールを追いかけた14歳の夏

私が生まれ育った地域には、日系ブラジル人の方がたくさん住んでいます。容姿は日本人と同じなのに日本語を話さず、異なる文化背景を持っていることが不思議で、子どもながらに相互理解とは何かをよく考えていました。そんな環境で過ごす中、友人の影響で始めたサッカーに熱中し、やがてプロをめざすように。中学2年生の夏休みには単身でブラジルに渡航し、地域のクラブで約1カ月間プレーしました。国籍の異なるチームメートとしのぎを削る毎日であらためて実感したのが、言葉の力です。相互理解に不可欠な要素であることはもちろん、自分の人間性や魅力を相手に発信するためのツールとしてその重要性に気がつきました。

 

留学で体験したリアルなブラジル社会

21歳でサッカー選手への道を諦めたとき、それまではツールとしてしか見ていなかった言葉を、その裏にある文化的知識も含めて深く学びたいと思うようになり、京都外大でポルトガル語の勉強に励みました。さらに、交換留学生としてブラジリア大学に1年間留学し、現地で言語学を専攻したり、国際情勢に関する見識を広めたり、興味のある講演会には迷わず参加したりと貪欲に行動。交友関係を広げるべく、学外にも積極的に飛び出したことで、政治家や芸術家など多様な職種の方々と交流する機会に恵まれ、リアルなブラジル社会を体験できました。その他に、外務省在外公館派遣員として在サンパウロ日本国総領事館で働いた時期もあり、延べ5年間ブラジルに滞在していたことになります。

通訳にクラブ運営、広がり続ける夢

卒業してしばらくは総合商社に勤めていたのですが、縁あってポルトガル語の通訳としてJリーグのクラブにかかわるようになりました。華やかな世界を想像しがちですが、選手の生活サポートやスケジュールの管理、デスクワークなど、その仕事内容は多岐にわたります。通訳として活躍するには、ピッチ外でも献身的に動き、選手やスタッフと信頼関係を構築することが何よりも大切だと知りました。その後、また別のクラブで国際業務を経験する中で、人・サッカー・カネ・情報が複雑に入り組むクラブ運営に新たなやりがいを発見。そこからクラブの国際経営戦略論について研究するため、大学院にも通い、経営学の修士課程を修了しました。現在は柏レイソルでブラジル人選手の通訳を務めながら、マネジメント業務に不可欠な現場への理解を深めています。休暇があれば諸外国のクラブを視察したり、セミナーに参加したりと、学びの姿勢は学生時代も今も変わりません。通訳として精進を重ねながら、伝えるべきことを簡潔に集約するなど「言葉の威力」を高め、リーグ優勝に貢献したいです。

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