日本語を学ぶ留学生へ、
感謝とエールを
- 留学生別科
- 白鳥 文子 准教授
“なぜ学ぶのか”を問い続けて
日本語教員という職業を知ったのは、中学生の時に読んだ1枚の新聞記事がきっかけでした。「世の中にはこんな仕事があるんだ」と強く惹かれ、本が好きで、人に何かを説明した時の「分かった!」という顔を見ることも好きだった私は、自然と興味が湧いてきました。
大学では日本語学科で日本語教育について学ぶとともに、図書館司書の資格も取得。進路に悩みましたが青年海外協力隊の選考合格を機に、日本語教員の道へ進む決意が固まりました。最初の派遣先はタイ東北部のコンケン大学。当時23歳だった私が最も悩んだのは「なぜ彼らは日本語を学ぶのか」という問いで、それは今も心に残る大切な経験です。だからこそ、日本語を学び、京都外大を選んで留学してくれた学生たちに「ありがとう」という気持ちが自然と湧いてきます。ここで充実した時間を過ごしてほしいという思いを強く持っています。
2度目の派遣となったタイ南部の高校では、勉強が苦手な生徒たちが少しずつ日本語を使えるようになるにつれ、表情がキラキラと輝いていく様子を目の当たりにし、「人が学ぶことの素晴らしさ」を心から実感しました。
その後、大学院へ進学し、修了後は国内の大学で日本語教育に従事。2018年より京都外大の留学生別科の専任教員となりました。
リアルな体験から広がる、学びの世界
授業では、日本語能力の向上だけでなく、自己を振り返り視野が広がるような活動を大切にしています。自分のことや自国の社会について日本語で表現し、他の学生の考えや文化にふれあう。そのやりとりこそが視野を広げると思うので、ペアワークやグループワーク、発表など、相互のやりとりが生まれる授業の組み立てを心がけています。
そして学生には、ネットやAIで得た情報だけでなく、自分自身で経験し感じることを大切にしてほしいと伝えています。情報はすぐに手に入る時代だからこそ、留学中の悔しさやつらさも含めたリアルな経験こそが、本当の意味での学びになると考えています。
京都外大だからこそ出会える多様性
留学生別科は、学部とは独立した日本語教育機関です。私費留学生と交換留学生、そして国費留学生が共に学ぶ「融合型」の形態で、修了後は帰国・進学・就職とそれぞれの道へ進みます。日本の高等教育機関への進学を目指す学生にとっての予備教育機関でもあります。
最大の魅力は、毎学期25〜30もの国・地域から留学生が集まるダイバーシティな環境です。日本語能力を向上させたい人や日本文化を肌で感じたい人、そしてこの京都外大というアカデミックな環境の中で日本語を学びたい人に、ぜひ来てもらいたいです。
私たちはどうしても、自分の知っている世界がすべてのように感じてしまいがちです。でも、世界には本当にいろいろな人がいて、いろいろな考え方がある。自然界がそうであるように、私たちの社会でも多様性があるのは健全なことで、違うものに触れることは楽しいことです。外国語を学ぶことは、自分とは違う他者を知り、自分の世界を広げていくきっかけになるでしょう。広い視野で物事を見ることができれば、つらい時にも「考え方はこれだけではない」と踏ん張れるし、楽しい時にはその気持ちを足がかりにまた新しい世界へと踏み出せる。それは、生きやすさにもつながるかもしれません。
世界は広いです。自分とは異なるものに触れることを楽しみながら、自分の居場所をゆっくりとしっかりと見つけていってほしいです。
※掲載内容は取材当時のものです



