コーヒーは笑顔を作る
ハッピーな仕事
- ドイツ・ヴュルツブルク在住 バリスタ
- 中村 靖彦 さん
- 外国語学部 ドイツ語学科 2004年度卒業
もう一度、ドイツ語を話したい
ドイツ南部のバイエルン州にあるヴュルツブルクは、2~3時間歩くと10人以上の知り合いに出会うくらい、こぢんまりとした街。ここでバリスタとして働いて13年経ちました。バリスタとは、コーヒーの専門家。カフェやレストラン、バーなど3店舗でコーヒーをサーブしながら、クオリティ管理や従業員教育を行っています。
5歳から7歳まで、父の仕事の関係でドイツに暮らしました。帰国後、4年ぶりにドイツに遊びに行ったとき、大親友と再会。しかし、ドイツ語をすっかり忘れ、彼の言葉が一言もわからなくなっていたんです。心が通じ合っていたはずの友達とコミュニケーションが取れないというのは、人生を変えるほどショッキングな出来事でした。もう一度ドイツ語を話したい。そう決めて京都外大へ入学しました。
ドイツに骨を埋める覚悟
入学後すぐ、ドイツ人留学生と仲良くなりました。半年間毎日一緒にいると、語学力がめちゃくちゃ伸びました。ネイティブの先生にも、発音が完ぺきだと褒められるくらい。留学生との会話や授業を積み重ねるうちに、ドイツで暮らしていた頃の記憶が呼びさまされたのかもしれません。 在学中はドイツ語研究会で活動しました。ドイツ語弁論大会で2位になり、1位が取れずに悔しかった思い出もあります。学外でもドイツとつながりたいと、滋賀県大津市にあるレストラン「ヴュルツブルク」でアルバイトもしました。学園祭ではドイツビールやドイツソーセージを格安価格で卸してもらい、大人気に。即完売でした。 3年次に休学し、ヴュルツブルク大学へ留学。半年間、スイスでインターンも経験しました。いろんなドイツ人と知り合う中で、自分のルーツがドイツにあると再確認。「ドイツに骨を埋めたい」と心に決め、卒業後、渡独しました。
コーヒーとの出会い
コーヒーと出会ったのは留学していた頃。ドイツは日本よりコーヒー文化が浸透しています。みんなが飲んでいるから飲みたい!という単純な理由からコーヒーにはまりました(笑)。コーヒーは、農家やどんな焙煎をするかでまったく違う味になる。新しい器具もどんどん出てくるし、奥深くて退屈にならない。飲食店で経験を積む傍ら、ドイツ人の大御所バリスタの元で指導を受け、昨年はバリスタとして最高峰の資格も取得しました。また、いろいろなクラブに通ううちに音楽にハマり、DJ活動も行っています。
夢は、自分のコーヒー専門店を開くこと
先日、12年ぶりに日本へ半年間帰国。ドイツ発日本人バリスタとしてコーヒーのセミナーや講演を行いました。参加者の目がキラキラしていく瞬間を見て、自分の仕事は、人に楽しみや喜びを与えられるのだと実感しました。DJの活動も、店舗で働くのも、セミナーをするのも、突き詰めるとみんな同じ。「ヤスが作るお店は必ずいい店になる」と信じて待っていてくれる友達のためにも、いつかは自分で焙煎した豆と音楽があるコーヒー専門店をヴュルツブルクで開きたいと思っています。
今は日本人がどんどん海外に出て行っています。外大生の皆さんは、外大のメリットをめいっぱい使って、グローバルな感覚を養ってほしい。そして毎日、今日は幸せだったかと、自分に問いかけてください。一日一日、今日もいい日だったと思えるように、全力で学生生活を楽しんでほしいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです