京都外国語大学・京都外国語短期大学

コロンビアとの貿易に挑戦!
学びを社会で実践しています

  • 国際貢献学部 グローバル観光学科 2年次生
  • 田中 颯大 さん
  • 京都府 京都外大西高校出身
  • 2025.01.14

英語や観光業界への憧れを抱くようになったきっかけ。

 京丹後市の出身で、京都外大西高校から京都外国語大学 国際貢献学部 グローバル観光学科へと進み、現在は2年次生です。私が京都外国語大学を選んだ理由は、もともと航空業界や観光業界に興味を持っていて、高校では航空管制官を目指していたからです。この夢を抱くに至ったきっかけは意外なものでした。というのも実は、幼い子どものころは飛行機が大嫌いで、墜落事故を扱ったテレビ番組などを見て「怖い」というイメージを持っていたからです。でも中学2年生の時、京丹後市の派遣留学制度を使ってニュージーランドに行く機会があって、そこで初めて飛行機に乗ることになったのですが、初めての海外、初めての飛行機で緊張していた私を親身にサポートしてくれる航空スタッフの姿が本当にかっこよく見えたんです。その瞬間、いつか自分もこんな風に子どもたちの心に残る仕事がしたいと思うようになりました。
 その後、地元・京丹後市の観光振興にも関心を抱き、地域の活性化につながる観光学を学べると考え、京都外国語大学へ進学を決めました。

おもてなしの街・京都の観光学科で学ぶ「ホスピタリティ」の本質とは。

 グローバル観光学科では、観光業やホスピタリティについて幅広く学んでいます。特に印象に残っているのは、日本の旅館の仲居さんや飲食店の店員さんが自然にできている、接客を越えた「おもてなし」「ホスピタリティ」の概念。お客さまから言われてから動くのではなく、お客さまが何を求めているのかを先回りして考え、行動するという考え方を学びました。2025年2月からは城崎温泉の旅館で研修に参加させていただく予定なので、そこで学んだことを実践できるのが今からとても楽しみです。こうした先回りするホスピタリティの在り方は接客に関わる仕事に携わる人のみならず、多くの日本人があらかじめ身に付けている感覚だと感じていて、こうした日本人特有の「ホスピタリティ」の概念を英語で学ぶことは、日本の『おもてなし文化』を多角的に考えるきっかけになりました。
 ほかにも、アニメの聖地巡礼や夏のスキー場の活用法など地域資源や特性を生かした観光事例の研究をはじめ、オーバーツーリズムの影響分析などの観光社会学の視点や、観光が地域経済や文化に与える影響など、幅広くかつ多様な観点から観光を深く学びながら、実践的なスキルを磨いています。

IMAGINE PROJECTを通じて直面した不条理な現実。

 大学では授業やゼミ以外にも、課外活動として観光学の学びを実践に結びつける取り組みに従事しています。その活動は「IMAGINE PROJECT」といって、コロンビアから仕入れたコーヒーを販売し、その売り上げの一部をフィリピン・セブ島の子どもたちへの支援に充てることを目的とした活動。このプロジェクトはもともと高校時代に現代文を教わっていた先生の元教え子である京都外大西高校の先輩が始めたものでしたが、ある事情でその方が続けられなくなり、先生が高校時代から海外協力隊などでの活動に興味を持っていた私を紹介してくれて、それで私に白羽の矢が立ったことで正式に引き継ぐことになったのでした。
 フィリピン・セブ島の子どもたちへの支援として、すでに食事の支援やお金の寄付といった活動は既存のボランティア団体やNPOが先行してされていたので、私たちは楽器の寄付などを通じて子どもたちの情操教育や心の豊かさを育む活動に力を入れています。
 実はたまたま第二言語がスペイン語で、それは世界での話者数が多い言語ということで選んだだけだったのですが、結果的にはこの活動をやることになってコロンビアから豆を仕入れるのにすごく役立っています。
 また、この活動を通じて痛感したのは、貿易の不公平さでした。それなりにフェアトレードを意識したと言われている取引でも、現地の人々に還元される金額は驚くほど少ないと感じました。実際にコーヒーの仕入れの明細を見て、ここから船での輸送費や中間業者の経費などを引かれると考えると、実際にコーヒーを提供してくれている現地の農家さんや生産者さんが受け取っている金額は、かなり少ないものだということがリアルに想像することができました。「本当にこの価格でいいのか?」「このシステムは間違っているのではないか?」と疑問を持つようになりました。もちろんこれまでもニュースなどで見聞きしてはいましたが、自分の目の前で現実として起きると、その重みもまったく違いますし、より「自分ごと」として考えるようになりました。

プロジェクトを通じて、大学で得た学びを社会で実践することができた。

 実際に販売を始めたのは2024年10月。プロジェクトを実際に運営するにあたっては多くの苦労が伴いました。なにせ仕入れから販売、チラシを作ったりSNSで告知したり、売上帳簿をつけたりと、すべてを一人で賄わなければなりませんでした。特に販売イベントでの広報不足や商品の価格設定、インスタグラムのフォロワー増加などは最大の課題だと感じています。それでも、京都外大西高校の文化祭では予定分であった250セットは完売。売り上げはおよそ12万円となり、予想以上の成功を達成できたことで活動を続けていける手応えを感じました。今後は外部イベントへの出展も考えていて、現在は岡崎公園で定期開催されているマルシェへの出展準備を進めています。

 このように普通の大学生では体験できないような、社会とダイレクトにつながって展開している「IMAGINE PROJECT」。この活動は、スペイン語、グローバルな観光と社会の仕組み、簿記などの会計学、そして客商売に必要なホスピタリティにいたるまで、すべて京都外国語大学で学んだ、さまざまなスキルや知識を使ったいわば「実践の場」なのです。京都外国語大学は授業の幅が広くて、自分の興味に応じて選べるのが大きな魅力。これは入学して実際に学び、そして課外活動などで実際にその学びを活用できる舞台が与えられたことであらためて感じたことでした。

挑戦を後押しする環境と、サポートしてくれる先生たちの存在。

 とにかく京都外国語大学は、私の学びや活動を見てもらえれば分かるように、個人の活動を後押ししてくれる環境があります。実際に私自身、もともと何にでも興味を持つ性格だったこともありますが、この大学での経験を通じて、自分が興味を持ったことにとことん挑戦する大切さを学びましたし、そのチャレンジを後押ししてくれる環境が、ここまで私を成長させてくれたと思います。
 また、先生との距離が近く、個人の活動に対しても親身にサポートしてくれるところが京都外国語大学の良いところ。だから、自分に好奇心とほんの少しの勇気さえあれば、どんどん興味の幅が広がり、多様な経験ができる場所。だから自分の可能性を広げたい人にはぴったりの大学だと思います。
 大学を卒業したあとは一般企業への就職を目指しつつ、副業的なかたちで今後もIMAGINE PROJECTを続けていきたいと考えています。いずれにせよこの活動を通じて得た経験や価値観は、どんな進路に進んだとしても、今後の私自身の人生において必ず大きな財産になるだろうと確信しています。

※掲載内容は取材当時のものです

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