人を起点に世界を見る──
京都外大で学ぶ国際関係
- 外国語学部 英米語学科
- 大野 直樹 准教授
「国」ではなく「人」を見る
私は主に国際関係領域の授業を担当していますが、この分野を学んでいると「アメリカは…」「イギリスは…」「日本は…」といった大きな主語で物事を捉えがちになります。しかし、実際に政治を動かし、その影響を受けるのは、一人ひとりの人間です。同じ制度やお金、力があっても、それをどう使うかは人によって異なり、社会は個人の選択の積み重ねで成り立っています。そのため授業では、「自分ならどうするか」と考えることの大切さを伝えています。また、国や政治の中枢にいる人の視点だけでなく、名もなき人々の立場から見える世界もあり、立場によって物事の見え方は変わります。重要なのは、自分がどの立場から発言しているのかを自覚することです。そうすることで、異なる立場の意見を理解する力につながります。京都外大のキャンパスには、多様な背景をもつ留学生や外国人教員が集い、日々さまざまな価値観に触れることができます。この身近な多様性こそが、国際関係を学ぶうえでの原点です。ここで見た景色を忘れず、国や地域という大きな枠組みの背後にいる一人ひとりの存在を思い描きながら学んでほしいと思っています。
小さなキャンパスで出会う、大きな世界
京都外大ならではの魅力は、良い意味でキャンパスがコンパクトな点です。少し歩くだけで、まったく異なる視点や考え方をもつ人たちと出会える環境があり、一つのキャンパスに多様な世界観が凝縮されています。また、学びの面での特長は、専門分野で分かれすぎない点にあります。法律や経済といった分野ごとに集まる一般的な大学とは異なり、「言語」を軸にポップカルチャーから国際政治、教職志望まで、さまざまな関心をもつ学生が共に学んでいます。語学の授業を通して日常的にこうした多様な関心に触れられることは、他にはあまりない環境です。クラスメートと積極的に交流することで、自分とは異なる考え方を知り、世界の広さを実感できる大学だと思います。そして授業では、誰でも簡単に意見を発信できる時代だからこそ、考えを言葉にして伝えることの難しさを実感してほしいと考えています。実際にアウトプットしてみることで、自分に何が足りないのかが見えてきます。その気付きが、本や論文を読んだり、教員やクラスメートの話を聞いたりするなど、インプットの必要性を自覚するきっかけになります。こうした循環を通して得た知識を、次のアウトプットへつなげていくことで、発信に対する姿勢がより慎重で謙虚なものになり、卒業論文を書く過程でも大きな学びにつながることを期待しています。
「なぜ?」の先にいる一人ひとりへ
国際関係を学ぶときは、まず自分が関心をもった出来事についての本を読み、「なぜ起こったのか」「誰がどのように関わったのか」「どんな影響があったのか」を考えることが大切です。こうした問いを一つひとつ辿ることが、理解を深める第一歩になります。もちろん教科書を読み、体系的な知識を身に付けることは重要です。しかし、大学での学びで大切なのは、一つの出来事を自分の頭で突き詰めて考え、背景や文脈、そこに生きる人々の姿まで含めて理解していくことです。そして大学生活では、自分の可能性を限定せず、たとえ一つでも「やりたい」と思えることを大切にしていけば、世界は自然と広がっていきます。周囲の声に左右されず、やってみたいことに臆せず挑戦してほしいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです



