放送部の部長だった私が、
スポーツを教えるまで
- 共通教育機構
- 空閑 佐智子 准教授
人生を変えた一言から、教員への道に
私が教員を目指すようになった原点は、中学生のころにあります。小学生のころから文化系で、どちらかといえばインドア派だった私に、思いがけない転機が訪れました。体育の授業で走る姿を見た陸上部の先生から、「陸上部に入らないか」と声をかけてもらったのです。
当時はすでに放送部に所属し、1年生ながら部長を務めていたため、最初は断りました。ところが先生から「放送部がない日に来ればいい」と誘っていただき、放送部と陸上部を掛け持ちすることに。次第に走ること、体を動かすことの楽しさに夢中になり、高校・大学では陸上部一筋になりました。
自分でも気付いていなかった可能性を見つけてもらったことで、人生が大きく変わった。その経験から、「私も誰かの新しい楽しみや可能性を見つけられる教員になりたい」と考え、体育教師を志すようになりました。
しかし、大学で教育実習を経験する中で、すぐに教員になるのではなく、もう少し専門的に学びたいという思いが芽生えます。そこで、1年間の研究生を経て大学院へ進学。疫学調査を行う研究室に所属し、初めての海外となるタンザニアをはじめ、スコットランドやエクアドルでの調査にも参加しました。
修士課程修了後は、岐阜県の外郭団体で県民の健康づくりや生きがいづくりに携わり、その後、大学の非常勤講師や嘱託講師を経て、2021年から京都外国語大学に勤務しています。
中学生のころには、まさか自分が大学教員になるとは想像もしていませんでした。それでも振り返れば、「人の可能性を広げられる教員になりたい」という思いは、形を変えながらずっと続いていたのだと思います。今は、大学で教えるという仕事が自分にとても合っていると感じています。
一つの授業から広がる、スポーツと人の輪
現在は、バドミントンやバレーボール、バスケットボールなどのスポーツ実技を中心に担当しています。授業には学部・学科、学年の異なる学生が集まるため、私が大切にしているのは、運動の技術だけではなく「人とつながること」です。バドミントンではペアや対戦相手を変え、バレーボールやバスケットボールではチームを組み替える。できるだけ多くの学生が言葉を交わし、自然と交流できるようにしています。
高校までの体育に、苦手意識を持っている学生も少なくありません。だからこそ大学では、「やらされる体育」ではなく、自分から参加したくなる時間にしたい。上手い・下手にかかわらず、まずは体を動かすことを楽しんでほしいと思っています。
実際、授業をきっかけに学生同士で練習するようになったり、卒業後も仲間と体育館を借りてスポーツを続けたりする人もいます。たった一つの授業から、運動の楽しさと人とのつながりがその先まで続いていく。そのつながりを見られることが、私にとって何よりうれしい瞬間です。
「頑張る」と「休む」を、自分で選べる人に
やらなければならないことは、さっさと終わらせる。遊ぶときは思いきり楽しむ。そして、疲れたときはしっかり自分を甘やかす。学生生活では、そんな「メリハリ」を大切にしてほしいと思っています。
ただ、無理をしないことと同じくらい大切なのが、正しい知識を持つことです。授業でもよく伝えているのは「知っているのと、知らないのとでは違う」ということ。健康や身体について正しく知っていれば、今の生活を見直すことも、それが将来の自分につながっていると理解して行動することもできます。
もちろん、頑張れるときには思いきり頑張っていい。でも、疲れているときまで無理をする必要はありません。自分の心と身体の声を聞き、「今日は休もう」と判断することも、自分を大切にするための力です。
学生時代は、今しかできない経験がたくさんあります。だからこそ、自分自身をいたわりながら、学ぶときも、遊ぶときも、思いきり楽しんでほしいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです



