共に学び合いながら
「伝わる」喜びを
感じてほしい
- 外国語学部 中国語学科
- 植屋 高史 准教授
「四声」に苦労した学生時代
私が育った町は中国からの留学生が多く、スーパーなどでアルバイトをしているところもよく見かけました。中国語を勉強するようになったのも、勤勉な彼らに親近感と憧れを抱いたからだと思います。
高校の頃から簡単な会話を勉強し始めましたが、初めは音の上がり下がりによって意味を区別する「四声」の聴き分けができず、また子音には「有気音」と「無気音」の違いがあるのですが、同じ音にしか聞こえませんでした。ですから、学生の皆さんが新しい外国語に触れた時に感じる不安は、よく理解できます。
親しさの表現の中にその国らしさが
中国語の研究者として、たびたび現地を訪ね、フィールドワークを重ねています。よく行くのは、少数民族が多く居住している広西チワン族自治区、貴州省など。その地で使われている言葉が時代を経てどう変わっていくかを追いかけています。
フィールドワークしながらいつも考えるのは、中国人同士が互いにどのように親しさを表しているのかということ。例えば「你好(ニーハオ)」という挨拶が有名ですが、親しい人同士ではまず使いません。名前で呼びかけるだけで会話が始まります。相手との親密さに応じて繊細に言葉を使い分け、コミュニケーションをとる。そんな中国スタイルに、私も少しずつ慣れてきたように思います。
学生同士の協力作業を重視
授業ではできる限り、学生同士で互いに教え合うペアワークの時間を設けるようにしています。単純にテキストを暗記するようなタスクでも「2人とも暗記できた」というところまでいくのは案外難しいものです。学生たちも最初は戸惑いますが、回数を重ねると「隣の席の人はどこが覚えにくいのか」が分かってきて、ヒントを出して答えを引き出したり、繰り返し暗唱させたりなど、コーチングのコツをつかむようになります。結局のところ「教育は共育」。特に語学では、目の前にいる人に言いたいことをいかに伝えるか。コミュニケーションを通じて共に育っていける環境をつくることが、教師の役割だと思っています。
言葉が通じない体験が成長につながる
中国語を学ぶ学生の皆さんには、1・2年次生のうちに中国語圏の国・地域に行ってほしいですね。「自分の中国語では通じない」という体験を、なるべく早い時期にしてほしい。1人で心細い思いをすることもあるかもしれませんが、それも大変貴重な体験です。ピンチの時にこそ、新しい気づきや人との出会いがある。何かを求めれば、そこにたどりつくためのチャンスはきっと巡ってきます。